TIME RXR ULTEAM を迎える ~あの日憧れた「フランスの至宝」を~

ロードバイク
TIME RXR ULTEAM

1 なぜ今、TIME RXR ULTEAM なのか

TIMEのロードバイクといえば、「いつかはTIME」と言われるぐらい、2000年初頭は、憧れの的でした。
フレームだけでも60万円前後、当時のコンポと組み合わせると100万円の大台に乗るぐらいのイメージかと。庶民の私にとっては、高嶺の花。ツールドフランスの映像でみる、このモデル姿は、めちゃくちゃ、かっこよかったですね。あれから17年の歳月がたち、何気にネットオークションで見つけたこの個体。現物を見ずにポチるは少々勇気がいりましたが、写真でみるとなかなか奇麗そうな感じで、組まれるいるパーツ構成が、私の趣味とドンピシャ(赤の車体に赤基調の組み合わせ)。迷わずポチってしまいました。(2026年5月16日)ということで我が家にお迎えしたオールドルーキーを紹介したいと思います。

2 TIME社の歩み

○1987年…ロラン・カタンが、フランスのヌーヴェールにて創業した比較的新しい会社

○1980年代後半…当時固定式が主流だったビンディングペダルに、膝への負担を軽減する「フローティング機構」を導入し、世界的なシェアを確立。当時は、シマノのSPD-SLか、TIME、LOOKかという感じでした。ここでもTIMEのペダルは憧れでしたね。

○1990年代…ペダルで培ったカーボン技術を応用し、フレーム製造を開始。ラグ構造を用いた独自のカーボンフレームで一躍トップブランドへ

○2021年…ペダル部門を売却。自転車フレーム製造に特化する体制へ舵をきる。

という感じです。今は名だたるメーカーがひしめきあう中で、TIMEの存在は薄れつつあります。が、TIMEの魅力を継承していきたいと思います。

3 TIME社の特徴と技術的優位性

TIME社の最大の魅力は、他メーカーが「型に流し込む」カーボン製造を行う中で、一貫して「自社で繊維を編み上げる」という独自の哲学を貫いている点にある。なんとも言えいない職人魂がかっこいい。

①RTM(レジントランスファーモールディング)製法

多くのカーボンメーカーがプリプレグ(樹脂をあらかじめ染み込ませたカーボンシート)を型にならべるのに対してTIME社はRTM製法を採用しています。
特徴: 精密に計算されたカーボン繊維の編組体に、高圧で樹脂を注入して成形します。
利点: 内部の空隙(気泡)が極めて少なく、非常に強固で均一な剛性を持つフレームが作れます。この製法により、重量を抑えつつも、TIME特有の「しなやかで疲れにくい」乗り味が実現されます。

② BCS(Braided Carbon Structure:編み込みカーボン構造)

TIMEは、自社でカーボン繊維を編み上げてチューブやラグを製造します。

技術的優位性: 必要な方向に対して最適に繊維を配置できるため、振動吸収性と剛性を両立させる「意図した乗り心地」を作ることが可能となる。これにはケブラーやダイニーマといった高機能素材も巧みに組み合わされる。

③ 「TIMEの乗り味」の神髄

TIMEのフレームは「硬いだけではない」と高く評価されます。

  • 振動吸収性: 路面からの微細な振動をフレーム自体が適度にいなすため、長距離を走った時の疲労感が圧倒的に少ないのが特徴。
  • 登坂性能: 踏み込んだ瞬間のレスポンスは鋭いものの、脚に返ってくる衝撃がマイルドであるため、プロからホビーライダーまで「魔法のような乗り心地」と形容される。

4  ブランドの哲学:No One Stops Time

TIMEは、単なる機材としての自転車ではなく、「工芸品のような精度と品質」を追い求めています。昨今の大量生産が主流の自転車業界において、欧州の自社工場で職人たちがカーボンを編み上げ、一台ずつ丁寧に仕上げる姿勢は、サイクリストにとって唯一無二の所有欲を満たしてくれます。かくいう私もこの思想、設計に惚れました。歴史は比較的浅いTIME社ですが、会社設立時の経緯や職人気質なところが現代のコスト主義の世の中にあって貴重な存在だと感じます。カーボンフレームの進化において、最も「素材」と「構造」の真髄を理解しているメーカーの一つと言えるのではないでしょうか。

5 なぜ TIMEの中でもRXR ULTEAM だったのか

TIME社といえば、ラグフレームのカーボンというイメージがあった。それこそ1990年代の細身のラグフレームの美しさに惹かれる。当時の素材で言うとクロモリが主流であるが、あの当時、TIMEやLOOKは細身のラグカーボンを世に輩出していた。

その中で2009年といえば、新城幸也選手が、この機種を操りツールドフランスに出場していた。あの自転車レースの最高峰とされるレースにである。自分の中では、衝撃の一コマでだった。あれから「いつかはTIME」が、「いつかはRXR」になった。

やはり、RXR ULTEAMの魅力は。なんといっても「工学」としての美しさではないだろうか。

①ラグ構造のディテール・・・(写真〕継ぎ目に見えるカーボンの織り目や、剛性と振動吸収性を両立させたフレーム造形。それまでの伝統的なラグドフレームの美学を継承しつつ、エアロダイナミクスを意識した角ばったスタイル。モノコック構造とラグの融合。トップチューブの複雑な造形が、高いねじれ剛性を実現している点。

②「乗らなければ分からない」フィーリング・・・初めて乗ったときには、正直17年も前のモデルとは思えないほど、こぎ出しの軽さを実感した。現在所有している他のモデル(LOOK 586UD(カーボン)、AVEDIO バッカス(アルミ))と比べてもその違いを感じることができた。しっかり踏み込んだ時に現れる「わずかなしなり」が乗り手のパワーを推進力へと変換している感覚。中高速域からグングン伸びる加速感も味わうことができる。TIME特有の振動吸収性について、硬いレーシングフレームでありながら、路面からの細かい突き上げを角の取れた柔らかいものに変える「膜が張られたような」乗り心地。「攻める楽しさ」を教えてくれるバイクでありながら、ロングライドでも脚を残せる、相反する要素を高次元でバランスさせている点。RXR最高!!

③リムブレーキの操作感・・・今やディスクブレーキが全盛で、リムブレーキと言えば、もはや絶滅危惧種。ブレーキ性能は、おそらくディスクブレーキの方がよいのであろう。雨の日の制動力や、リム面が熱くならない(カーボンホイールにやさしい)などディスクブレーキの優位性はよく聞く。しかしながら、これらは限界局面での話ではないかと思う。日ごろリムブレーキを使用して不満に思うことはない。むしろ、トラブルが発生した時の対処としては、素人ながら、まだ「リムブレーキ」の方が対応可能だと思う。正直ディスクブレーキはお手上げだ。まだまだ、リムブレーキの軽快な操作感は捨てがたい。あと見た目のかっこよさはお気に入りのポイントである。

6 まとめ

最新のバイクには、英知の積み重ねた結果が具現化されていると思う。ただ今や何百万円も当たり前の世界。ロードバイクがどんどん遠くの存在になりつつある。ロードバイクブームも少し冷めた感じがする今日この頃。今だからこそ、昔の良さを大切にしたい。2010年代のロードバイクは、フレームデザイン、カラーリング、など個性豊かな時代だったと思う。今の車体を見ているとどれも同じように見えるには私だけだろうか。アイドルの顔を見ていて同じ顔を見えてしまうことと同じ現象か。おじさんゆえのさみしさを感じつつ、当時のフランスで精緻に作り上げられたフレームが持つ「魂」について、このバイクとともに走る喜びを綴っていきたいと思う。

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